ロケット燃焼試験の360度近距離撮影に挑戦!360度動画で得られる没入感とは?
Image Credit: SpaceX
ロケットの打ち上げを見ると人生が変わる。
そんなことが宇宙業界では言われています。しかし、実際の打ち上げでは安全のため離れたところからしか見学することができません。遠くから見るだけで人生が変わるほどの体験ができる打ち上げなのですから、近くから見たらもっとすごいことが起きるに違いない。360度カメラで撮影して、それをVRグラスで見たら、ロケットの打ち上げを超近距離で見たことに近い経験をすることができるのではないか。
ロケットの打ち上げを超近距離で見たらどうなるのか。
そんな疑問を解決するために先日の6月23日と24日に、ロケットの燃焼試験にお邪魔させていただいてきました。
今回のブログでは、この燃焼試験の撮影に関して3回に分けてご紹介します。
一回目の本記事は、ロケットの燃焼試験についてご説明します。
まず今回撮影させていただいたのは、どちらもハイブリットロケットと呼ばれるものの燃焼試験です。そもそもハイブリットロケットとは何なのか。
まずロケットは大きく固体燃料ロケットと液体燃料ロケットの二つに分けることができます。
固体燃料ロケットは文字通り推進剤に固体燃料を利用します。ロケットに使われる固体燃料は、合成ゴムなどの燃料と酸化剤を混ぜ合わせて固めたものを使用します。この固体燃料ロケットは、構造が簡単なため低コストで大出力を出すことができますが、一度火をつけてしまったら消すことができなかったり、推進力の調整をすることができないので、精密な制御が難しい。簡単にいうと、ロケット花火みたいなものです。
一方で液体燃料ロケットは、別のタンクに入れられた液体水素などの燃料と液体酸素などの酸化剤を、燃焼室に送り、燃焼させることで推進力を得ます。液体燃料ロケットは、構造が複雑なため開発が難しいですが、燃焼させる燃料の量を調整することができるので精密な制御が可能です。アポロ着陸船を月まで送ったサターンロケットもこの液体燃料方式を採用しているんですね。
©︎JAXA
さて、今回撮影させていただいたハイブリットロケットは、固体の燃料と液体の酸化剤を組み合わせたものになっています。二種類の燃料を組み合わせることによって、お互いの利点をうまく生かしたロケットになっているんですね。1つの液体しか使っていないので構造が簡単で、液体の酸化剤を燃焼室に送る量を調整することで推進力を調整することも可能です。燃焼量を調整できるので安全性が高く、世界で初めての宇宙旅行を実現した宇宙船「SpaceShipOne」にも採用されているんですね。
©︎Scaled Composites
さて、今回の記事を読んで、ロケットの打ち上げに興味を持ってくださった方に向けて。毎年8月に秋田県能代市で開催される能代宇宙イベント。このイベントでは学生さんが、ロケットやローバーなどの宇宙機の開発技術を競技形式で競います。
2018年は8月16日~23日の日程で開催されるようです。ぜひ夏休みの思い出作りに、訪れて見てくださいね。(能代宇宙イベント|Noshiro Space Event)
ロケットに関する基本的な知識を身につけたところで、次回の記事では撮影機材や撮影方法についてご紹介しますね!撮影した映像も公開予定なのでぜひ楽しみにしていてください。
【合同会社Yspace】
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航空宇宙工学やロボット工学の専門分野を軸に、宇宙と最先端のテクノロジーを融合させ、世界の人々に”初めて”の体験を届けることを目指しています。
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