宇宙xテクノロジー by Yspace

宇宙とテクノロジーについての解説

次世代の宇宙開発カンファレンス「NEXT SPACE」Vol.5 前編

2020年2月29日に行われた次世代宇宙開発カンファレンス「NEXT SPACE」vol.5    ~宇宙ベンチャー2.0。今までの10年とこれからの10年~

の様子をブログ記事にてお届けします!!

 

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今回で、5回目の開催となったNEXT SPACE。新型コロナウイルスの感染拡大の防止のため、本イベントはYoutube生配信』行いました(※お越しいただいた方には、入り口で体調チェック、アルコール消毒実施)。

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配信している様子

NEXT SPACEとは

宇宙産業に様々な分野の企業が進出してきている現在、大学の時の専攻が航空宇宙ではない人もどんどん増えてきています。
NEXTSPACEでは、航空宇宙出身の宇宙エンジニアから、文系からの宇宙企業で働く人などさまざまなひとを呼び、そして現在の宇宙ブームを超え10年〜を生きる優秀な若手宇宙エンジニア・研究者・起業家にスポットライトをあて、 過去・現在・未来の宇宙開発の文脈を紡いでいきます!

この場から新しい宇宙開発の時代を作ります。

peatix.com

登壇者とタイムテーブルは以下です。

登壇者

株式会社WARPSPACE CEO 常間地 悟 氏

株式会社SPACE WALKER 代表取締役 CEO 眞鍋 顕秀

株式会社ALE COO 藤田 智明 氏

モデレーター 合同会社Yspace CEO 川﨑吾一

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左からSPACE WARKER眞鍋顕秀さん、WARPSPACE常間地悟さん、ALE藤田智明さん、Yspace川﨑吾一

タイムテーブル

12:30~ 開場

13:00~14:30 第一部 (宇宙エンジニア、起業家、研究者によるピッチ)

14:30~14:40    休憩

14:40~15:40 第二部(パネルディスカッション)

15:40~16:20 ネットワーキング

 

前回と同じく、会場は宇宙ビジネス拠点 X-NIHONBASHIです。打ちっぱなしの壁であることから研究所みたいな、そして、イノベーションが生まれるんじゃないかという雰囲気があります。

 

ということで、

NEXT SPACE ~次世代の宇宙開発カンファレンス~ Vol.5スタートです!

 

第一部(宇宙エンジニア、起業家、研究者によるピッチ)

イントロダクション

Yspace代表の川﨑吾一がセッションを務めました。

このNEXT SPACEを行っている意義は、宇宙ベンチャー同士のつながりが薄いため、今の民間や大学研究室が何をやっているか共有し、横のつながりを創ろうという目的です。

今回のテーマである「今までの10年とこれからの10年」。

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10年前、2010年はスペースシャトルが飛んでいる時代でした。宇宙のベンチャー数はたった10社ほどしかなく、ようやく政府とベンチャーのつながりが出来始めたころでした。2020年現在は42社もの宇宙ベンチャーが誕生しています(ちなみに宇宙データ系が多め)。

 

合同会社Yspace

Yspaceはテクノロジーで宇宙開発を促進するというミッションをもって事業に取り組んでいます。宇宙のことをあまり関心のない人に伝える時、理解を得るのが難しい状況です。そのため、VR,XRなどテクノロジーを用いて、宇宙を身近に感じさせる、開発コストを下げる、他のベンチャーに月面データを提供しています。

宇宙エンジニアリング、エンターテイメント、教育の三つから事業は形成され、様々なプレーヤーを宇宙業界の中に引き込もうという狙いもあります。

 

株式会社WARPSPACE

次が、唯一の筑波大発の宇宙ベンチャーWARPSPACEです。

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CEOの常間地悟さん


2022年までに光空間通信による宇宙空間の通信ネットワークの構築を目指している企業です。同じような企業もありますが、それらとは違い、宇宙空間での通信事業を行います。

現在、宇宙での通信は細い通信環境で行われています。その理由は二つあります。

一つ目は、地上側のアンテナの位置や数に通信が依存していることです。地球は水の惑星と形容されるように表面はほぼ水で覆われており、アンテナを設置することは不可能で、限界があります。

二つ目は、使用する衛星一つ一つに使う周波数を獲得しなければならず、かつ、衛星軌道上で利用されるため、一つの国でその周波数を獲得すればよいという話ではない点です。

現況を打破するために、考え出されたのが光空間通信による宇宙空間の通信ネットワークです。この方法ならば、上記の制約が一切なくなります。

ビジネスモデルは、キャリアとして通信料を得る方法で、日本初宇宙通信プロバイダーとなることを掲げています。さらに2030年には1,000億円の売り上げを見込んでいます。

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また、現在WARPSPACEはクラウドファンディングを行っています。中でも人気は「3万円の衛星のかけらをお手元に」プランです。代表の常間地さんの表現をお借りすると、皆さん是非WARPSPACEさんに元気玉(=ファンディング)を届けてあげてください!!!

※詳細は分かりませんが、お金下さい!よりも元気玉ください!の方が言いやすいそうです(笑)。クラウドファンディングやろうとしている事業者の方、ぜひ使ってみて下さい!

readyfor.jp

 

株式会社SPACE WALKER

そして、宇宙がみんなのものになるというミッションで活動しているSPACE WALKERの登場です。

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同じくCEO眞鍋顕秀さん

 

現在、ロケット業界は使い捨ての大型ロケットが主流です。しかしこれには三つの問題点があります。

一つ目が製造コストです。使い捨ての大型ロケットだと、一回当たり約100億円ものお金がかかります。

二つ目は、リードタイムがかかることです。

三つ目は、環境問題です。

それらを解決できるのが再生可能小型ロケットの開発であり、SPACE WALKERは一回当たり目標予算3億円で打ち上げようとしています。とはいえ、他にも方法があるんじゃないかと思った読者の方もいると思います。その一例として、大型のロケットとの相乗りです。しかし、行きたい軌道やタイミングで行けないという問題が生じます。

SPACE WALKERさんが狙っている市場は科学ミッション→小型衛星マーケット→宇宙旅行という流れです。最終ミッションは、飛行機に乗るように宇宙旅行を!だそうなので気軽に宇宙に行ける日を楽しみに待ちましょう。

news.mynavi.jp

 

株式会社ALE

人工で流れ星を流そうという企業です。

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COO藤田智明さん


「なんでそんな奇天烈なことをって皆さん思いますよね?」とCOOの藤田さんからの投げかけでセッションがスタート。ビジョンは宇宙を、好奇心に動かされた人類の、進化の舞台にする、があげられます。これは地球にいるだけじゃわからない、科学知識や体験があるという仮説のもとあるのだそうです。

根幹には代表の方々のサイエンスに対する想いがあります。“殊に宇宙分野は「それって何の意味があるの?」という指摘を良く受ける、だが、その研究にはイノベーションの根幹があり、それをどう伝えるか”というフェーズが以下です。

フェーズ1 地球近郊で宇宙の面白さを教える、データ利用で環境問題解決

フェーズ2 実際に現地に行く(SpaceWarkerさん的な)

フェーズ3 太陽系外に行きたい

 

フェーズ1に関して具体的な事業が動いています。まずは人工流れ星。これはスカイキャンバス事業にあたります。

  1. 人工衛星に流れ星のもととなる粒を積んで打ち上げる
  2. その粒を放出
  3. 地球から見ると流れ星エンタメとなる

という手順で人工流れ星は起こされます。その応用で、データサービスも検討されており、スカイキャンバス事業で発生する光を観測し、得られるデータを分析して気候変動分析をします。

マイナス一等星くらいの明るさで流れる(予定の)人工流れ星、ワクワクしますね。

 

tabi-labo.com

 

ここまでが、イントロダクション+各社ピッチです。

後半では登壇者の方々にパネルディスカッションをしていただいた様子をお届けします!!