宇宙xテクノロジー by Yspace

宇宙とテクノロジーについての解説

「NEXT SPACE」~次世代の宇宙開発を担う者たち~by Yspace

「NEXT SPACE」とは次世代の宇宙開発をリードする若手宇宙エンジニア・宇宙スタートアップ企業、宇宙関連の研究者が研究・開発する宇宙のテクノロジーを専門の違うエンジニア、そして一般の人と共有し、更なる融合とイノベーションを起こすための "場所" である。

現在、世界の宇宙開発は月そしてその先の火星を目指し研究開発を進めている。

日本の宇宙開発も政府研究機関や宇宙ベンチャー、そして大学研究機関と様々な立場で宇宙を目指している。そして今後の日本の宇宙開発の発展には次世代の宇宙開発をリードする若手のエンジニア・起業家・研究者が必要である。

 

世間がハロウィンで盛り上がる中、10/31に若手宇宙エンジニアによるピッチイベントと交流会を行いました!場所は今おしゃれなシェアオフィスとして有名なWeWorkアークヒルズサウスタワー

 

今回、ピッチしてくれたのはこちらの4人。
ispaceで月面ローバー開発を行うの田中克明氏、東京大学大学院博士課程で小型衛星用のスラスターの研究を行う浅川純氏、JAXA宇宙研で火星の研究開発を行う尾崎直哉氏、そしてYspaceからは日高萌子。
それぞれ働く環境と研究や仕事が違いますが、政府研究機関、民間宇宙開発企業,大学研究機関、宇宙開発スタートアップ企業で様々なおもしろさがあるんです!

それぞれのピッチの内容を見てみましょう!

「田中克明」

プロフィール

株式会社ispace Spacecraft robotics engineer,早稲田大学理工学術院総合研究所 招聘研究員,合同会社Yspace 共同代表。早稲田大学にて不整地ロボットの研究開発を行い博士号を取得。その後、株式会社ispaceにて月面探査ローバーの開発に従事。その他Yspace共同代表としても宇宙開発をVR技術を用いて促進を行う。

1人目のプレゼンターは株式会社ispaceにてエンジニアとして月面探査を目指す田中克明氏。

ispaceに所属する一方、Yspaceの立ち上げメンバーでもあります。

田中氏からは現在の民間での宇宙開発の状況やispaceが目指す未来について話してもらいました。早稲田で博士課程を取得した田中氏。現在は民間の宇宙開発企業ispaceで働くも大学で研究していたのは宇宙系ではなく「ロボット」。しかし、ispaceを含め、月面探査や火星探査をする探査機はまさにそのロボットといえる「ローバー」と呼ばれます。田中氏も大学院の時は多くの小型ロボットを作っていたそうですが、開発していたのは人型ロボットではなく四輪などの不整地移動ロボットでした。月面探査はまさに不整地。数えるほどしか探査が行われていないこの月面で自分の今までやってきた研究が行かせると思い、そしてispaceが進めるビジョンとミッションに共感し入社することを決めたそうです。

このように宇宙開発の企業で働く人の中には大学で全く宇宙工学や宇宙物理を専攻としていない人もいるんですね!しかし、そこに何か共通点があれば自分の力が出せ、かつ楽しめるジャンルだったんですね!これぞまさに新しい融合だったのかもしれません。

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「浅川純」
東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 博士課程在籍
世界初の超小型深宇宙探査機PROCYON搭載小型イオンエンジン及びコールドガスジェットの開発及び運用を担当.現在開発中の深宇宙探査キューブサット EQUULEUSにおいて,小型水エンジン開発の中核を担う。

二人目のプレゼンターは浅川氏。現在東京大学大学院博士課程にて衛星の推進系の研究に関して発表してもらいました。

小型衛星は東京大学で研究開発が始まり2003年に初めてロシアから打ち上げられました。そこからさまざまな研究が行われ、その中でも浅川氏はスラスターと呼ばれる推進系の研究をしています。現在は固体燃料や液体燃料と種類がありますが、浅川氏の研究は水を使ったスラスター。

水でのスラスターは他の燃料に比べ状態が安定しており、将来の衛星の燃料として注目されています。そして、打ち上げコストが安さ、開発スピードなどから世界的にも大型衛星に加え小型衛星の需要も増加しています。

現在月面探査の中で注目を集めているのが月面にあるとされている水(水氷)です。そしてこの水を使用する衛星のスラスターは将来、月から火星や他の惑星への推進剤としても注目されるかもしれません。

この水スラスターは現在東京大学で開発中の衛星にも搭載するそうで打ち上げが楽しみですね!

 

「尾崎直哉」
JAXA宇宙科学研究所役職:日本学術振興会特別研究員(PD)
宇宙研にて火星探査チームMMXに所属。火星の衛星フォボスダイモスへの着陸衛星の軌道設計を担当し、その他にも月極域探査衛星や深宇宙探査キューブサット EQUULEUSの軌道設計を担当。

三人目はJAXA宇宙科学研究所にて研究者として働く尾崎直哉氏。
現在JAXAが開発した、はやぶさ2と着陸した二機のロボットからの画像の話に始まり、現在研究している火星探査の話をしていただきました。
火星探査ミッションMMXは火星の周りを回る"2つの月"であるフォボスダイモスのうち、フォボスに着陸するというミッションです。しかもこのミッションただ着陸するだけではなく、着陸してサンプルを採取した後に地球に戻ってくるというミッション!今まで火星に着陸した探査機や、周回した衛星はありますが地球に戻ってきた探査機はありません。これが成功すれば地球と火星を往復することとなり有人火星探査も見えてきますね!

加えて、このフォボスは火星から約9000kmの位置にあります。だいぶ遠いなぁと思う方も多いかと思いますが、地球に対する月は約380000kmなので近い距離にあるんです。そのため、自然の国際宇宙ステーションとしても検討されているそうです!わくわくが止まりませんね!

「日高萌子」
合同会社Yspace共同代表,慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻 修士1年
宇宙科学研究所技術研修生として研究を行う。月面探査プロジェクト「HAKUTO」のメンバーとして参加。合同会社Yspaceにて宇宙開発をVR技術を用いて促進を行う。

最後にプレゼンしたのはYspaceの日高萌子。現在、慶應義塾大学大学院で着陸システムの研究をする傍ら、YspaceにてVRを用いた宇宙開発を行っています。

現在のYspaceの事業内容をはじめとし宇宙のVRの利用について話しました。宇宙開発というとなかなか一般の人が関わりずらいと思うジャンルかもしれません。しかし将来自分たちが住むかもしれない「月」や未来の月面都市を体験できるとすればどうでしょうか?今は住むことはできないけれど将来実現する未来を少し早く体験できるのがVRでもあるんです!その他にも宇宙開発は危険な試験がたくさんあります。その中でも普段は近づけない場所があるんです。それがロケットの打ち上げに必要な燃焼試験です!燃焼試験VRでは360°カメラを用いて撮影した映像を、目の前でロケットの燃焼試験を見ることができます。このように見るのが困難な実験なども目の前で体験することができるんです!

そして、現在Yspaceは月面のVRマップを制作しています!これは月面探査の際にルートの最適化や着陸シミュレーションなどにも用いられ、ミッションの成功確率を上げるためのアプリケーションになります。このようにYspaceは宇宙開発を促進させるための開発も行っています!

その他にも展示会やイベントも行っていますので随時告知していきたいと思います!

 

そして最後には現在の宇宙開発をネタに出演者全員でのパネルディスカッション!

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 いかがだったでしょうか?

今後も「NEXT SPACE」は次世代の宇宙開発をリードする若手宇宙エンジニア・起業家・研究者の為に更なる融合とイノベーションを起こすための "場所" でありつづけます。

今後の宇宙開発を推進させるには若手の力が必要になってきます。

現在宇宙開発企業で働く20代のみなさん、大学で宇宙の研究をする方、

ピッチに出たい人、ボランティアとして参加したい人などご連絡お待ちしております! 

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最後となりましたが今回のイベントではAOI Pro.、SOOTH両社様に後援していただきました。誠にありがとうございました。額田様からも温かいお言葉をいただき、若手も今をリードする宇宙開発のプレイヤーに負けじと推進していこうと思います!

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また次回、さらにパワーアップして来年2019年も「NEXT SPACE」が開催できるよう頑張っていきます!

Yspace