キーワードは3Dプリント!人類が宇宙で住むには⁉
9月29日(土)にJAXAの筑波宇宙センターで実施される特別公開で,わたしたちYspaceが火星都市を考えるコンテスト"HP Mars Home Planet"で最優秀賞を受賞した未来の火星都市の生活を体験できるVR作品が公開されます.
詳しくは前回のブログもチェックしてみてください!
人類が火星に住むには何が必要なのか!
今回は私たちの火星都市を実現するために必要な技術について,最新の火星移住技術を踏まえつつ紹介します.
まず人類が地球を出て宇宙で生きていくために何が必要でしょうか?
水?空気?電気?食べ物?
多くの宇宙飛行士が生活する国際宇宙ステーションでは,様々な実験が行われています.そして,彼らが生活していくために技術開発は進められ,水や空気はかなり高い割合で再利用できるようになりました.また,宇宙で植物を育てることにも成功しています.
こうした背景から,今後技術が進歩すれば水や食事はなんとかなりそう.
じゃあ,火星で生きていくには何が必要なのか.地球から火星に行くまでは何年もかかるので,簡単に補給物資をもらうわけにもいかず,国際宇宙ステーションで生活するようにはいきません.
人が火星で生きていくには,たくさんの困難があります.
例えば火星の平均温度は,‐63.15℃とすぐに凍ってしまいます.空気はないので,呼吸ができません.また大気がないので,地球の3倍もの放射線が降り注ぐ環境です.
そこで,私たち人類が火星で生きていくために,大きく2つの方法が考えられています.
①火星の環境を地球に近い環境に作り替える
②火星に生活の拠点を作ってその中で生きる
①は,「テラフォーミング」と呼ばれる技術.火星を地球みたいな環境に作り替えてしまえば,人って生きていけるよね!という何とも大胆な発想.
テラフォーミングを火星で行うには,火星で何らかの大爆発を起こして,地下に眠っている凍った二酸化炭素を大気に放出.地球温暖化ならぬ火星温暖化を無理やり起こすことで,火星を住める環境にしようなんて考えも・・・
しかし残念なことに,最近のNASAの発表で,火星には温暖化を起こせるほどの二酸化炭素が存在しないことがわかり,まだまだテラフォーミングは難しそうです.
そこで,私たち人間が火星に住むのに,最も有効なのは②の生活の拠点を何らかの方法で作ること.生活の拠点となるような火星基地を作って,その中だけで生活しようという考え.
例えば,2025年までに火星に人類の永住地を作ることを目的とする,オランダの非営利団体"Mars One"が提唱する火星基地はこんな感じ.
アラブ首長国連邦が行う火星移住計画"Mars 2117"で提案されている火星都市はこんな感じ.
ここまで大きな建築物があれば,地球と変わらない快適な生活ができそうですが...
ここで,大事になってくるのが,この基地ってどうやって作るの??ってこと.
火星にあるのは,レゴリスと呼ばれる砂と氷だけ.つまり,建物を作るのに必要な材料は地球から火星まで運ぶしかないのです.
しかし,地球から火星までものを運ぶのに必要な輸送費は膨大.今の相場では,1㎏あたり2億円とも言われています.これから技術が進歩して,どんどん安くなるとしても,地球から火星までたくさんのものを運ぶのはあまり現実的ではありません.
そこで,最近注目されている技術が,レゴリスを使った3Dプリント技術!
火星に大量にあるレゴリス.実は,レーザーを当てることで十分な強度を持った材料に生まれ変わることが知られているのです.
これは,実際にレゴリスにレーザーを照射し,3Dプリンティングを利用して製造した構造物.このように惑星にあるものを使って製造を行う技術は,今では人類の惑星移住に必要不可欠だと考えられるようになり,NASAやJAXAをはじめとする世界各国で研究が進められています.
もちろんわたしたちYspaceが考えた火星都市でもこの技術を,積極的に利用してます!
さて,長くなってしまったので,今回はここまで.
人類が火星に住むにはどれだけ大変だか少しでも伝われば幸いです.
筑波宇宙センターの特別公開の詳細は以下のリンクから.
※VR作品の体験には事前申し込みが必要です.
【合同会社Yspace】
Yspaceは宇宙×テクノロジーによって、宇宙開発を促進させることを目指す宇宙スタートアップ企業です。
航空宇宙工学やロボット工学の専門分野を軸に、宇宙と最先端のテクノロジーを融合させ、世界の人々に”初めて”の体験を届けることを目指しています。
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